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宿坊とファンドは軋轢を生みながらも、爆発的に広まる

01.宿坊
 

大陽寺の客室から

ほーりーは宿坊を作るための3つのハードルとして、

・初期費用
・旅館業の営業許可取得
・宿泊業を営むための技術、ノウハウの習得

の、3つを挙げています。

宿坊を開設するための3つのハードル。これを超えるために知恵絞っています

今回はこのうちの、「初期費用」に関する話です。

宿坊は開設費用が安いことがメリットです。例えば脱サラしたサラリーマンがペンションを作ろうとすれば、土地と建物の取得で数千万円~1億円以上かかります。しかし境内地と建物のある寺社であれば、宿坊の開設は数百万円で済んだ事例もありました。その意味で私は宿坊は反則的にメリットが多いと考えています。

旅館開業資金の8割をカットできる宿坊は、反則的にメリットだらけ

しかし冒頭の3つのハードルの一つに挙げている通り、数百万円で済んだとしても1億円に比べればマシという話で、気軽にポンと出せる金額ではありません。また建物のコンディションや立地条件により、コストが膨らむことも考えられます。

そこで今回は全く別の手法で、この初期費用問題をクリアーするプロジェクトが生まれたので紹介します。

燦キャピタルマネージメントが宿坊ファンドを創設

先月、燦キャピタルマネージメント株式会社のウェブサイトに、『宿坊創生プロジェクトにおけるアレンジメント・サービス業務受託に関するお知らせ』というIR情報が出ました。

引用すると

当社は、アレンジャーとして以下のアレンジメント・サービス業務の全部または一部を行います。

1.宿坊の投融資スキームの構成等に関するストラクチャリング業務。

2.投資ファンド、SPC(合同会社等の国内SPC、海外SPC、資産流動化に関する法律上の特別目的会社等)の組成・管理等に関する業務。

3.次の業務遂行者の選定及び選任業務。

(細かな業務区分の記載のため、中略)

4.宿坊の流動化業務(ドキュメンテーション業務を含みます。)。

5.各種調査(デューデリジェンス・レポート及びエンジニアリング・レポート)に関する業務。

6.宿坊の価値向上にかかる企画業務。

7.上記業務に関する弁護士、税理士、公認会計士、監査法人、司法書士等の専門家との協働業務。

8.上記業務に関連するコンサルテーション業務。

9.その他上記業務に関連する一切の業務。

を行うことが明記されています。

SPC(special purpose company)という耳慣れない単語が出てきますが、これは企業が資金を調達する目的などで設立する会社のことです。この辺はほーりーもど素人なので、解説サイトへのリンクを貼っておきます。

SPCとはどんなものか その3 開発型SPC(ド素人向け)

それと勘の良い方ならピンと来るかもしれませんが、上記のファンドで作ろうとしているものが、現在宿坊創生プロジェクトで作ろうとしている大阪の宿坊です。

大阪に宿坊を作ります。地鎮祭が行われた一日は、時代の分岐点です

産宗官の最前線。「宿坊」は行政や企業が熱く注目している

昨年末、地域おこし協力隊の研修に私は講師として呼ばれました。また今年の5月には自民党の観光立国調査会でも、議員さんの前で講演させていただいています。そしてここに来て、宿坊のファンド創設がニュースとして駆け巡りました。

このところ何度も訴えていることですが、宿坊は寺社だけでなく行政や企業も熱く注目しています。実際に何億円というお金が投資されていますし、日本の観光立国化に向けてこれからますますこの熱は高まるでしょう。

私の想いとしてはここに集まる莫大なお金や人を、地方で疲弊している寺社にうまく振り向けられないかということです。プロジェクトとして最初はリスクの低い大阪が選ばれましたが、このモデルを少しずつでも各地に展開していくことは、地方創生を説く国としても、ゴールデンルート以外に人を呼びたい観光業界としても、檀家氏子数減少に悩む地方寺社としてもメリットがあります。

もちろん私はこれまでと変わらず「人生を変える寺社巡り」がテーマの旅人ですので、宿坊が増えることでお寺や神社にふれる機会が増え、多くの人にとって旅がより有意義なものになることも歓迎です。

ファンドという経済用語は寺社に馴染まないという方へ

一方、こうした話をすると、寺社にお金の匂いを寄せ付けたくない人間が強く反応します。しかし言うまでもありませんが、寺社を次代に伝えていくためにお金は絶対に欠かせないものです。

なので私は境内地を潰して駐車場にしたり、何百年と伝えられてきた仏像や文化財を海外に売り払ったり、さらにはお坊さんや神主さんが平日サラリーマンで稼いだお金で穴埋めして寺社を維持するくらいなら、宗教としてメリットある形でお金を稼ぐ手段を増やすことは必須と考えています。

檀家数激減時代にお寺の収入を増やす3つの方策

そして宿坊創生プロジェクトにおいてほーりーに課せられた使命は、これまで水と油のようだった宗教と行政、宗教とビジネスを、お互いの価値観を大事にしながらすり合わせることです。

先日、この大阪の宿坊で、茶道を目玉に売り出したいという議論が持ち上がりました。茶道は日本文化の中で、海外の方に特に人気ある体験の一つです。もちろん茶道が宿坊で体験できること自体に私は反対ではありませんが、茶道を宿坊の看板にしていくことには反対しました。

茶道がお寺と深く関わっていることは疑いようがありませんが、座禅や写経、精進料理などと比べて仏教の中にあるものとは言えません。宿坊作りにおいてビジネス面での成功は欠かせませんが、それと同等に布教にも役立つものでなければ、宿坊として成功とは言えないと私は考えています。

あえて言えば「布教」という言葉が苦手な私だからこそ、逆側の「経済」という言葉にも神経をとがらせています。

全お坊さんに告ぐ! ほーりーは「布教」という言葉が苦手です。

産業、宗教、官公庁(産宗官連携)はこれまで高すぎる壁があったので、まだまだ多くの衝突を繰り返していくでしょう。大阪に生まれる宿坊も木造ではなかったり、境内の外に飛び地のように建てられたり、宿坊と聞いてすぐにイメージされるものからは違和感も出てくるはずです。

ですがお互いの価値観をうまく融和できる要素が宿坊には詰まっています。宿坊とファンドは軋轢を生みながらも、これから爆発的に可能性を広げてくれるでしょう。

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