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あなたが変化しないのは、あなたの上司が無能だから

2017年のテーマは変化です。昨年末、ちょっとすごいニュースを見ちゃいました。

ご記憶の方もいるでしょうが、日本年金機構のファイル整理方法が「いろは順」になっているとのこと。

河野議員が「通常の並び順でないため、担当者がすぐにファイルを取り出せず非効率ではないか」と質問したところ、厚労省年金局から「“イロハニ”に不慣れな職員が対応に困ったり、お客様を長時間お待たせしないように、各職員の机にイロハニ順を書き出した紙を要しするなどとともに、ファイルの保管について、管轄地域ごとにイロハニ順とし、さらにファイルボックスにもインデックスを貼ることで、保管場所がすぐに分かるような工夫を行っています」と、今後もこの方針は変えずに取り組む予定だとの回答が。

これは「いまだにイロハを使い続けるなんて、日本年金機構の職員は言われたことしかやれない無能なの?」という論調で大きく叩かれていましたが、この本質ってそこにはないとほーりーは考えます。

100人の名簿をイロハからあいうえおに変えるのはたいした話ではありませんが、100万人の名簿を並び替えるにはきっちり予算を取って他の業務も止めて行わなければならないわけです。

もちろん、それでも並びを変えようというのはひとつの判断ですが、古い慣習をひとつ変えるのにも多大なコストが必要となるのが大きな組織の構造です。

お寺にもよくある話ですね。

上司への説明と承認がいる環境はコストが大きい

通常、コスト(労力、お金など)はかけた分だけ、変化が起きます。

コストと変化

しかし組織の変化は、変化にかけるコストの大きさと共に、説明と承認という新たなコストも発生します。その分、変化も大きくなりますが。

大組織のコストと変化

そして、この説明と承認というプロセスをぶっこ抜いたのが、私が敬愛する高野誠鮮さんの方式ですね。

高野誠鮮さんのコストと変化

高野誠鮮さんはTBSドラマ『ナポレオンの村』のモデルともなったスーパー公務員(定年退職されて、現在は地方創生や自然栽培のアドバイザーとして日本中飛び回っていますが。ちなみに日蓮宗のお寺の住職でもあります)です。

私が何度も読み返している著書『ローマ法王に米を食べさせた男』では、「過疎高齢化集落の活性化と農作物の1年以内のブランド化を図るプロジェクト」を行う際に、

予算要求を60万円しかしていないことを条件に、やり終えてから事後報告という、後出しじゃんけん法という方法を了承していただいた

という作戦を取られています。稟議書を出さず、決裁書も書かない。こんなやり方で、奇跡ともいえる限界集落の復活を成し遂げられました。市長から予算規模が一桁足りないんじゃないかと言われても、必要なのはお金じゃなくて上に邪魔されないことだと貫く姿勢は痛快です。



 ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)

 高野誠鮮 著

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一方、会社を飛び出し、フリーランスの寺社旅研究家になったほーりーは、小さな変化をたくさん起こして、ちりも積もれば山となる方式です。説明と承認が不要な環境なので、その分玉をたくさん撃てます。

ほーりーのコストと変化

ほーりーの年表を主だった活動だけに絞ってもずらっと書いてみると

2000年 ~ 宿坊研究会を始め、寺社関連のウェブサイトを量産
2005年 ~ 宿坊散策会(寺社旅サークル) 開始
2009年 ~ 寺社コン開始
2012年 ~ 寺社旅研究家として独立
2012年 ~ 僧侶研修会の講師業開始
2013年 ~ お寺で結婚式を挙げ、仏前結婚式盛り上げ企画を開始
2014年 ~ 株式会社アンカレッジ(お寺の樹木葬)顧問就任
2015年 ~ 一般社団法人全国寺社観光協会アドバイザー(後に顧問)就任
2015年 ~ 多聞院・お寺の漫画図書館 開始
2016年 ~ お寺の応援団ドリームチーム 開始
2016年 ~ 株式会社インナーコーリング顧問就任

と、2012年の独立以降、明らかにフットワークが軽くなりました。

あなたが変化しないのは、あなたの上司が無能だから

それで今回のタイトル。『あなたが変化しないのは、あなたの上司が無能だから』。

公務員というお固い組織で自分流を貫いた高野誠鮮さんは、異分子を認めた上司の度量も圧倒的です。「犯罪以外なら全部責任を取る」と直属の上司に言われたセリフは、高野さんの講演でよく聞く言葉です。

が、まあ。組織に所属すると、上司を選ぶことができないのが難点です。そして下手すると変化にかけるコストより、「説明」と「承認」にかけるコストの方が圧倒的に大きくなったりします。

その意味であなたが変化にエネルギーを注ごうとしても自分の環境を変化させることができないとしたら、それはあなたの上司が無能だからです。一方、あなたの部下が変化しないとしたら、それはあなたが無能なためです。

「犯罪以外なら全部責任を取る」とさらっと言える上司はあまりいないので、平均的な上司はみんな無能です。ほーりーも部下を持ったら、たぶん無能になります(なので、弟子志望とかも断っちゃいましたし)。

組織なんて大きくなればなるほど、個人が変化に使えるエネルギーを鈍らせるんですよ。

ということで、、、

サン=テグジュペリの『星の王子さま』で、ほーりーが特に印象に残っているエピソードがひとつあります。それは王子さまが街灯の点灯夫がいる星を訪れた時の話です。



 星の王子さま

 サン=テグジュペリ 著 / 浅岡夢二 翻訳

 Amazon で購入

この点灯夫は一分間に一度、街灯を付けたり消したりします。そしてなんで忙しく付けたり消したりするの? と問いかける王子さまに、「規則だから」と答えます。

実はこの星は、昔はゆっくり回転している星でした。それがだんだん早くなり一分間に一度回るようになる。規則では朝に火を消し、夕方付ければ良かったものが、一分で昼夜が移り変わるようになったので、寝る暇もなく働かなければならなくなったと点灯夫はぼやきます。

この規則は誰が作ったのか、どうすれば規則を変えられるかは物語では語られていませんが、点灯夫にこの環境を変える(もしくは飛び出す)気はないようです。1秒に一回昼夜が変わるようになったらどうなるんでしょう。

変化へのエネルギーを失うと、いずれはこの点灯夫のようになっていきますよ。どうしても変化できなかったら、外へ飛び出しちゃえ~!

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