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ビットコインが崩壊したので、小さな寺社のお賽銭は増える

去年から爆上げし、今年に入って一気に価格が急降下した仮想通貨・ビットコイン。まさしくバブルの典型みたいな値動きを示してくれました。

直近のチャートをZaifから紹介させて頂くと、こんな感じです。

ビットコインのチャート

まあ、これに半狂乱された方もいたかもしれず、その方にはお気の毒という他ありませんが(ほーりーも勉強がてら、少しだけ買ってましたが)、それは置いといて。

こうした新しい概念が世に広まるのに、私はバブルは一つの通過点だと考えています。

詳しくは以下の記事に書いていますので、ご興味あればぜひどうぞ。

お坊さんバブルで仏教が消費されることを危惧する方へ

簡単にまとめると

○2015年はお坊さんバブルの年だった(映画、ドラマ、バラエティなどでお坊さん登場)
○いずれ、バブルは弾ける → 指標は「ぶっちゃけ寺」の終了
○日経平均やJリーグの観客動員数は、バブルが弾けても始まる前より高い水準をキープ
○バブルは社会に根付くために、必要な経過

というものです。

それで相場師でないほーりーには、この先ビットコインが復活するのか、それとも廃止されて無価値になるかは分かりません。

仮想通貨はビットコイン以外も百花繚乱ですし、次にどこが来るか分かっていたら、ほーりーも億り人になっています。またこの先、仮想通貨を駆逐して広まる新技術・サービスだって生まれるかもしれません。

ただ、もうちょっと俯瞰した視点から見通せそうな予測としては、現金以外のお金を使う場面がこれからどんどん増えていく(=現金を使う場面が減っていく)と考えられます。

いわゆる、キャッシュレス社会の到来ですね。

キャッシュレスはすでに世界的な潮流でもある

仮想通貨より先にすでに根付いたものとして、クレジットカードや電子マネーなどがあります。そして物理的なお金は持たない、あるいはほとんど持つ必要のない社会に向けて、現在は世界的に舵が切られています。

北欧はこうした分野の先進国が多く、スウェーデンでは現金使用率が2%などと言った報告も目にします。またインドや中国も先進的です。こうした国は偽札や闇取引撲滅のため、キャッシュレス化を推し進めました。

犯罪が少なく、偽札など滅多にお目にかからない日本では、皮肉にも現金の信用性の高さが社会の進展を遅らせていると言えるかもしれません。

しかし政府が閣議決定した「日本再興戦略」でも「2020年に向けたキャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上」は掲げられています。

経済産業省が公開していた『キャッシュレス研究会の方向性』という資料が分かりやすかったのでメリット一覧を引用させて頂くと、

キャッシュレスの意義

という形で報告されていました。この資料の中には2027年までにキャッシュレス決済を40%まで引き上げる(2016年は20%だった)ことが記されていましたし、北欧のような極端な進み方ではなくても今後間違いなくキャッシュレスは進んでいくでしょう。

キャッシュレスが進むと、お賽銭ってどうなるの?

それで技術的、社会的な考察はいくらでも転がっているので、ここでは置いとくとして。ほーりーの身近でよく聞く疑問は「キャッシュレスが進むと、お賽銭ってどうなるの?」と言うものです。

実際問題、財布に小銭がなかったら(というか、財布もないかもしれませんが)、お賽銭箱にお金を入れる人は激減するでしょう。

まあ、元からお賽銭なんてほとんどないよという寺社には影響ないかもしれません。ですが私はこうした小さめの寺社こそ、キャッシュレス社会の到来でお賽銭が増えると考えています。

なんとなく多くの方が考えるキャッシュレスなお賽銭は、東京・愛宕神社が行われたような電子マネーでタッチする形です。

もちろん、これはこれで増えるでしょう。キャッシュレス・ネイティヴの世代になれば、違和感持つ方もいなくなるでしょうし。それは現代を生きる私たちが、馬ではなく絵馬(しかも、馬の絵すら描いてない!)を奉納しても違和感を持たないことと同じです。

しかし現時点では、以下の様な声も上がります。

○電子マネーのお賽銭なんて罰当たり
○情報の受け渡しだけで、神様仏様に届くのか
○タッチしてシャリーンだけだと味気ない

なので私は電子マネーで直接タッチの一歩前段階として、クレジットカードや電子マネーで現金を買って、それをお賽銭にする形も増えると思っています。

この辺、法律的にはどうなるのかな。クレジットカードでの現金化なんて言うと、一部のフリマアプリで現金が出品されて大騒ぎになったこともありましたが。

ただこうしたダーク系のものとは趣旨も額も異なるし、大丈夫なモノでしょうか。後払い形式のクレカはまずくても、先払い形式の電子マネーならOKとか。この辺は専門家に譲りますが、ダメだったら現金ではなくお米や絹など、さらに昔に戻した形で奉納して頂くのも良いかもしれません。

それでまあ、とりあえず頭の体操として。例えば電子マネーで10円×10枚を購入し、それをお賽銭に使うことになったら、どのようになるでしょうか。

まず考えられるのは、お賽銭を入れる人数自体は減るということです。しかし一人ごとのお賽銭平均額は上がると思います。

そして重要なのは10円玉を一枚入れても、あと9枚が残ることです。今はクレカ使えないお店もたくさんありますが、30年後は現金が使えないお店の方が増えているかもしれません。

そうすると、この9枚もお賽銭にしてしまおうと考える方は多いでしょう。すると、ほーりーは寺社にお参りに来た方の動きが、こんな風に変わると思っています。

境内(before)

境内(after)

ほーりーは絵心を母親の胎内に忘れてきたので、激しく下手な図ですみません。なんとなく、意味は分かりますでしょうか?

要するに今はほとんどの人がスルーしている小さなお堂やお社にも、お参りの導線が作れるのではということです。

タイに行った時は現金から現金への交換なので単なる両替ですが、こんな感じでお参りする場所も作られていましたし。20バーツ分の小銭がカップいっぱいに入れられていて、入り口で紙幣と交換する形でしたよ。

ワットポー

そう言えば香川県の善通寺でも、境内にある八十八カ所霊場巡りで似た形式が取られていました。

ということで、、、

「小さな寺社のお賽銭が増える」なんて言っても、一部の観光寺院を除けばお賽銭収入なんて大きなものではないでしょう。なので今回の記事では、お賽銭で寺社を立て直そうなんて話ではありません。

ただ寺社コンでも一つのお寺に長い時間留まると、「あれ? このお寺。何度も来ていたのに、こんな場所があったなんて知らなかった」という声はよく聞きます。

また今年のお正月にほーりーが実家に帰った時、家族で近所の神社にお参りしたら、拝殿までは1時間も並ぶのに境内にある他のお社には誰も近づこうとはしていませんでした。

そして私がせっかくなのでとお参りしたら、後をついてきたうちの弟が「子供のころからお参りしていた神社なのに、ここに来たのは初めてだ」なんて呟いてもいました。

なのでキャッシュレス社会もうまく使えば、寺社の新たな魅力発見につながるわけです。

今はまだ現金でなければお賽銭ではないという論調は強く見受けられますが、お賽銭箱にお金を入れるスタイルだって、昔の誰かが考えたものなわけですよね。

嘘か誠かWikipediaさんによると

金銭が供えられるようになったのは中世以降であり、庶民に貨幣経済と社寺への参詣が浸透しはじめた時期である。そして、参詣が一般化したことで都市の風習として、賽銭をあげることが流行になった。しかし、現在のように賽銭箱が置かれるようになったのは近世以降である。

とのことですし。

生活様式が変化していくのは個人個人の信仰心とは無関係です。神仏を敬う方だけ、コンビニでも現金払いを認めるという風にはなっていかないでしょう。

なので新たなスタイルの到来に「そんなやり方は認めない」と拒むより、積極的に融和策を生み出していった方が有意義かななんて、ほーりーは思います。

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境内(after)

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