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ここ10年ほどで起きた「お寺バブル」をまとめてみました

みんな大好き『月刊住職』に、そろそろ3年近く連載を続けるほーりーです。2019年11月号では、これまで起きたお寺バブルについて、まとめてみました。

月刊住職のほーりー連載

お寺とバブル。何やら、かけ離れた言葉です。しかし実際にここ10年に限っても、お寺やその周囲には様々なバブルが生まれています。

そして世間的には悪者扱いのバブルですが、本質的には悪いことばかりでないということを、このブログでは何度か訴えてきました。

その中でも代表的なものは、以下の記事です。

お坊さんバブルで仏教が消費されることを危惧する方へ

こちらで紹介したことは、日経平均やJリーグの観客動員数を事例にしながら、バブルが弾ける前後では後の方が高い値を示していることを紹介しています。

日経平均の推移

バブルでは頂点からの落ち込みを見るのではなく、前後の値を見比べると効果が分かるというのがほーりーの持論です。

そこで今回はお寺に多くのものを残したバブルを、今回はまとめていきます。

ここ10年ほどで起きた「お寺バブル」

仏像バブル

阿修羅展の看板

まず最初は、2009年に起きた仏像バブルです。この年には東京国立博物館と福岡にある九州国立博物館で『阿修羅展』が開催されました。

奈良・興福寺の阿修羅像は悲しみの中に覚悟を秘めたような凛とした顔立ちで、日本の仏像の中でもトップクラスの人気を誇っています。そしてこの阿修羅像に焦点を当てた企画展は、東京で約95万人、福岡には71万人が来場し、社会現象を巻き起こしました。

特筆すべきは、それまでの仏像好き・美術好きとは異なる層が、美術館に殺到したことです。みうらじゅんさんが会長を務める阿修羅ファンクラブの創設や、仏像のイケメン性を強調した若い女性向けプロモーションの展開、精巧な阿修羅フィギアの販売など、それまでの仏像・美術好きとは異なるターゲットに向けた企画が目白押しでした。

そしてこれ以降、阿修羅展を超える仏像企画は出てきていません。近年の仏像展で最も話題になったのは2017年の運慶展ですが、こちらの来場者数は約60万人です。しかし阿修羅展は一時のブームで終わったのか。私は決してそのようには思いません。

阿修羅展に足を運んだ後、一度も仏像に積極的な関心を持たなかった方は少なくないでしょう。しかし阿修羅展以降、社会の仏像に対する認知は古臭いものからかっこいいものへと変わりました。私の周りでも仏像好きはそれまで変な人扱いだったのに、阿修羅展以降は仏像の話をしても引かれずに済んでいます。

阿修羅展が契機となって仏像の魅力に目覚めた方は確実に存在しますし、そうでなかった人が大半とは言っても、世の中の仏像に対する印象は確実に変わったわけです。

お坊さんバブル

冒頭のリンクでも触れましたが、2015年に生まれたのがお坊さんバブルです。この年、テレビ番組のぶっちゃけ寺が、ゴールデンタイムに進出しました。

同時期には祖父の死をきっかけに若くしてお寺を継いだ、白川密成さんのエッセイ『ボクは坊さん。』の映画化も反響を呼んでいます。仮面ライダーゴーストの舞台にお寺が選ばれ、お坊さんとの恋に揺れる英会話講師を描いた漫画『5時から9時まで』もドラマ化されました。

その後、3年以内には終わるとほーりーが予言した通りにぶっちゃけ寺はレギュラー番組としては幕を閉じました(ただし今も時々、特別版が放映されるなど、その人気には根強いものがあります)。

しかしこれもまた、テレビコンテンツとして消費されただけで終わったのではありません。この番組からお寺や仏教に興味を持ち始めた方は多数いますし、私の知り合いでも話しかけられる機会が増えたというお坊さんは大勢います。

御朱印バブル

御朱印比べ

2019年、現在進行形で進んでいるのは、御朱印バブルです。元号が変わったことによる御朱印騒動の顛末は、このブログでも何度か述べてきました。

御朱印のマナーと人間性のマナーとは、今一度分けるべき

御朱印のマナー違反が多発するのは、悪いことではない

御朱印マナーの悪さを叩く人と、坊主丸儲けを叩く人は似ている

現在は土産物店に小さな神社(のようなもの)が置かれてお店の御朱印が書かれたり、お城では「御城印」が始まったというニュースも流れています。

ほーりーの仲間内でも、居酒屋に置いてあるおみくじを見ながら、そのうち御「酒」印も生まれるのではなんて話もしていました。

しかしこの混沌とした状況も、3年以内にはどこかで収束していくでしょう。そしてこの御朱印バブルが寺社に何をもたらすかは、現在のバブル真っただ中の現在にお坊さんや神主さんがどのような対応を取っていくかで変わっていきます。

ということで、、、

他にも見渡せば、パワースポットやマインドフルネスなどにも似た要素はありました。私が現在取り組んでいる各地に宿坊を作るプロジェクトも、インバウンド(訪日外国人の誘致)バブルの真っただ中にあると言えそうです。

しかしこれらを見渡しながらこの記事を書こうと考えたのは、先日お参りしたとある神社で、神主さんに強く叱責されている御朱印初心者を見かけたことが発端でした。

その方は御朱印帳に間違って参拝記念のスタンプを押してしまったようで、まさしく御朱印はスタンプラリーではないという言葉で叱責が続いていました。

もちろんこれは違うんですよと、教えてあげることは大切でしょう。しかし悪意のない初心者のミスに対して、たまたま横でお守りを見ていた私も驚くくらいの激しい物言いが続いていた時には、この方(や、周りでその言葉が耳に入ってくる方も含めて)が御朱印や神社自体を嫌いにならなければよいなとハラハラしました。

これまで寺社など見向きもしなかった人が、御朱印帳を持って大量に押し寄せる。そのことを快く思わない方も当然いるでしょう。そして御朱印を集めても、神様や仏様にお参りさえしないと、にわかファン自体を毛嫌いしている方も増えています。

ですが、再度強調しておきたいことは、それはお寺や神社に何も残らないということではありません。大半の方は長続きしませんが、それでも一部は新しいファンとして定着し、お寺や神社自体への興味や知識も深めていきます。

100人いれば99人が消えていくのがブームです。この時にみんないなくなるから無駄だと手を放すのか、それとも1人残るから良しとする、あるいは3人、5人と増えるように努力するのか。それによって今後の展開は大きく変わっていくでしょう。

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