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都心部や過疎地より、中小都市のお寺がこれから厳しくなっていく

まぐろ一本釣の町 おおま

昨年末、青森曹洞宗第八教区の研修&忘年会に、講師(というか、ゲスト?)として参加してきました。会場となったのは2018年に大間に生まれた宿坊・普賢院。上の写真はそのすぐそばにある本州最北端の地にあるまぐろモニュメントです。

普賢院レポートはこちらに書いたので、よろしければご覧くださいませ。

ほーりーのブログが、普賢院宿坊の両親や金融公庫説得に役立った件

そしてこの『青森曹洞宗第八教区』は、下北半島のお寺で構成された組織です。青森はそもそも県自体が人口減少していますが、その先っぽにある下北半島は過疎化も半端ありません。構成する一市、三町、四村のうち、過疎地域として指定されていないのは、むつ市の一部と原発で知られる六ヶ所村のみです。

そんなわけで今回はお坊さん方の相談を受け、ほーりーがそれに答える形式で行われましたが、都心部とは異なる質問が続出しました。

例えば

○人口減少地域で行える寺院活性策
○お寺の福利厚生で取り入れられるもの
○葬儀を葬儀社からお寺に取り戻す具体的手段
○檀家さんの声が大きなお寺で新しい企画を生み出す方法

などなど。

その熱量を一言で表せば、これからのお寺存続に対する危機意識です。その少し前に京都や東京でも講演してきましたが、お坊さん達の見ている風景が全く異なっていたことが印象的でした。

過疎の町から、面白い寺社は続々登場している

おおま宿坊普賢院・菊池雄大さん

このところ、ほーりーは過疎地域のお寺から相談を受けることが増えています。

このブログに書いただけでも

大分の長仁寺で、家族の対話にほーりーが飛び込みました

熊本地震で半壊した庫裏を宿坊によみがえらせた、了廣寺の奮闘記

山口県・二尊院が宿坊を開くために奮闘中。ほーりーも行ってきました

他に取材に行った場所としては

檀家さんからのお布施は8%、過疎のお寺を救う長福寿寺モデル

過疎にある荒廃した神社をよみがえらせた東川優子宮司の挑戦

身延山の切り込み隊長・覚林坊の桜寺栖パーティに行ってきたよ!

などもあります。

過疎地に生まれた宿坊として最先端を走る埼玉県の大陽寺や鳥取県の光澤寺などは、ずっと追いかけているお寺でもありますしね。

もちろんあまたあるお寺の中ではほんの一部でしょうが、危機感に背中を押されて新しいモデルを生み出す方は増えています。

都心部は企業とのコラボレーションが増えている

正伝寺宿坊オープン発表会

一方で都心部は多くの人や企業が行き来するため、周りから刺激を受けて動き出すお坊さんが多くいます。

樹木葬は岩手県一関市(みなし過疎地域)の知勝院から始まりましたが、東京や大阪などで一気に広がりました。ほーりーが顧問を務める霊園会社・アンカレッジは、都内でもまだほとんど樹木葬がなかった時代からお寺に特化して開発を始めた草分け的存在です。

また、宿坊に関しても大阪に生まれた和空下寺町や南御堂の山門一体型ホテル、東京の正伝寺など、企業とお寺が手を取り合って生まれた宿泊施設が誕生しています。

新しい寺院モデルはお寺と企業が手を組んで、作られたものも目立っています。人口流動性の高い街は外部刺激の多さによって、革新のアドバンテージを得ています。

その中で気になる、中小都市の空洞化現象

そして今回の本題ですが、大都市や過疎地に比べて中小都市のお寺から、これはすごいという動きを見ることがあまりありません。

お坊さんへの人生相談サイト『hasunoha』を立ち上げ、テレビ番組『ぶっちゃけ寺』を仕掛けた井上広法さん(栃木県宇都宮市にある光琳寺のお坊さん)みたいな方もいますが、こうした方は特殊です。

端的に述べて、檀家制度が一番維持されやすいのは中小都市です。お寺によって状況は異なるので、すべからく当てはまるとは言いませんが、人口移動が激しい大都市や激減している過疎地と比べて、恵まれた環境なのは間違いありません。

しかしこれから人口が急激に減る時代に入りつつある今、スタートが一番遅れかねないのはこの中小都市のお寺なのではとほーりーは感じています。

目の前の檀家さんは大切にしなければならないことは、言うまでもありません。ですが一方で檀家さんがいなくなった時、周りの浮動票はみんな都市部や過疎地のお寺に取られている可能性は、頭に入れておいた方が良いでしょう。

ということで、、、

青森県から帰った後も、いろんなお坊さんと話をしたのですが、中小都市のお寺は本来、一番余裕があり、新しい施策も打ちやすいポジションにいます。

しかし「ピンチはチャンス」とよく言われますが、逆も同じで「チャンスはピンチ」でもあります。過疎地のお寺の方と話していてよく聞くのは、「この環境では何をやっても、周りから反対など出なかった」という言葉です。

逆に地方都市で講演した時など、終わった後に自分がなぜ行動できないかの理由を、延々と聞かされることもあります。

現状維持でもやっていける環境で変革を遂げるには、自分自身の意識改革や周りへの説得コストに多大なエネルギーを必要とします。

中小都市のお寺にとってこれから大切になってくるのは、都心部や過疎地域より30年後、50年後にお寺が途絶えているかもしれないという危機意識で負けている認識かもしれません。

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